7月8日、森善十朗は綾瀬 東京武道館に参陣。
11月に行われる世界大会の最後の椅子をめぐる闘いが始まろうとしていた……。
|
|
|
今回、関東大会とともに、世界大会の最終選抜試合が行われた。
この世界大会選抜戦には先のウエイト制でベスト8以上に入った選手のみに出場権が与えられる。
|
いずれも百戦錬磨の剛の者。
或る者は驚異的なスピードで相手を撹乱し、或る者は圧倒的な威力をほこる技で相手を破壊する。
軽量級から重量級までの無差別トーナメント。
全12人による熾烈な闘いが始まる……。
|
|
|
午前9時、しばしの談笑の後、すぐにアップが始まる。
森先輩も他の部に出場する後輩たちとシャドー。
|
先輩はまるで豹の如き動きだった。
|
|
|
開会式が始まる。ウエイト制のときのように選手宣誓の役割はない。
控え室に戻り休む先輩。
森先輩はシードだった為、初戦は第83試合目であった。
いつ試合は始まるのか。かなり後のほうになるとしかこの時点では分からなかった……。
後輩たちの試合が始まる。
皆奮闘するものの、時が経つにつれ、次々と敗退してゆく……。
|
|
|
|
そんななか、関東大会一般の部で、小林大起が獅子奮迅の活躍をみせる!
|
関東練成大会や城西カップで上位に名を連ねている強豪相手にすさまじい強さを見せつけ勝ちあがっていった!
その強さに自分はごくりと唾を飲む……!
|
|
|
準々決勝。相手は世田谷東のベテラン佐野選手。
一進一退の攻防が続く中、小林先輩のナックルが佐野選手の顔面をとらえる!
ボコン!!!
崩れ落ちる佐野選手。
あわててドクターが駆け寄るものの意識は戻らず。
小林先輩に反則負けが宣告される。
ウエイト制の森先輩のケースと同様、試合の難しさを考えさせられた。
結果的に、小林先輩は6位となる。
|
ちなみに小林先輩はなんと16歳。
若き龍はどこまでも高く翔け昇る。
そんな感慨を抱かせた。 |
|
また、女子の部において宮崎が奮闘!
強烈なミドルキックと豊富な運動量でベスト4入ったものの準決勝で延長を戦った末力尽きる。
|
次々と後輩の敗報を聴く中、森先輩の試合は予定より大幅に遅れていた。
当初2時くらいを予想していたのだが、3時になってもやってこない、4時になってもやってこない。 |
|
|
普段の試合より先輩は入念にアップをおこなっていた。それは長い試合間隔にあわよくば途切れそうになる集中力を必死に維持しているかのように見えた。
ようやく試合が開始時間の目処がついたのはなんと夕方5時を過ぎてから。
|
|
対戦相手は先のウエイト制で頭角を現し、一回戦でウエイト制軽量級2位の藤田選手を一本勝ちで葬り去った弓場選手であった。
|
試合が始まる。
いきなり森先輩の上段回し蹴りがヒット!
技有りとはならない。
その後も20キロ以上の体重差のある弓場選手を胸へのスローイングパンチや上段系の技で攻め立てるも、相手もさるもの!森先輩に決定打を与えない。 |
|
本戦終了の太鼓が鳴る。
セコンド陣は延長の可能性を考え、意識の切り替えを指摘。
引きわけ。
延長戦に突入。
先輩の動きが止まる。 |
|
弓場選手の直突きをもらう場面が増える。
ラスト1分! 先輩の動きに変化なし。
ラスト30! ラッシュはかからない。
ラスト15! 未だ動かず。
試合終了。 |
|
敗北が宣告される……。
試合後、森先輩、敗因は精神面にあったといった。
パワーで負けることより、技で負けることより、スタミナで負けることより、己の心に負けてしまったことが一番悔しかっただろう。
世界大会の切符は手に入らなかった。 |
|
|
|
先輩の悔しさを推し量るに文章では書けないもの、書ききれないものがある。
だが明日はやってくる。
残酷なほど早くやってくる。
心を休める暇など与えない。
明日の陽の光は心の傷をいっそう刺激するかもしれない。
明日がきて事実を受け入れることは辛い。
過去はもうかえらない。
だが、ウエイト制の前に山辺先生がおっしゃった言葉がある。
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる。」 |
|
いまでこそこの言葉をかみしめる。
明日というのは辛い現実の始まりだけではない。
過去の敗北は未来の勝者の勲章だ。
森先輩の兜の緒はまだ解けてはいない。
最後に選手・セコンド・係の皆さん本当にお疲れ様でした。
|
|
|
本レポートの著者である田口2級と森選手
|