新宿道場において、鈴木先輩の卒業15人組手が行われた。
試合に出たことがあれば分かることだが、どんなにスタミナ稽古をして臨んでも、一試合目ですらバテることがあるのが極真の試合である。それを十五ラウンドやるのだから、もはや荒行だ。社会に出る前に、空手に費やした大学生活の総決算と、社会人になる決意を新たにするための行事である。
序盤の五名(林田、榎本、村山、神田、井上)との対戦はさすが茶帯の組手といったところ。得意の下突きや下段回し蹴りを組み合わせ、安定した動きで難なくこなす。下の帯の者では歯が立たない。
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しかし、若干の疲労が見えている。過去十人組手を経験した方々によると、「三人目がひとやま」なのだそうだ。15人となるとその重圧も一塩だろう。
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中盤の五人(渡橋、阿部、師岡、今坂、森先生)に入ると疲れが目に見えてくる。そうなると徹底的に倒しにかかってくる。 |
自分は八人目として戦ったが先輩のパンチは重く、的確で、まったく入っていけない。そして見事にローキックを決められた。(この原稿を執筆しているのは実施日から一週間以上たっている時点なのだが、いまだに左足が痛い…。)
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終盤の犬竹先輩、鎌田先輩、橋本さんとの組手は、先輩にとってもはや自分との戦いであった。先輩はなんども気合を発し、果敢に攻めていった。それとともに周囲の声援も増していった。
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十四人目は渡邊先輩だった。二人は同好会の低迷期を乗り切ってきた仲である。二人の組手を見ていると、渡辺先輩の一撃一撃でなにかを語りかけているようであった。
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最後の相手は幅下前主将だ。鈴木先輩はもはや気力だけで戦っている。最後まで力を振り絞って打ち込んでいく、そして終了の鐘が鳴った…。
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達成直後、先輩の目には涙が浮かんでいた。十五人を相手にして戦うというこの試練を乗り切った時の気分はきっと格別のものだったろう。そしてその姿は、しっかりと後輩たちの眼に焼きついたはずだ。
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〈最後に〉
同好会の低迷期から現在の大所帯になるまでのこの数年を、部員として、主将として、主将引退後も指導やアドバイスをしてこられた先輩のおかげで今の同好会があります。そのことへの感謝を忘れずに、部員一同、同好会を盛り上げていくつもりです。
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このたびは、ご卒業おめでとうございます。 押忍
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