44歳の選手が18歳の選手と同じペースで動き続け、再延長で勝利するという
驚くべきことが起こった。
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2008年全日本ウェイト制大会選抜試合。
軽量級準決勝。
その勝利した男の名は西村直也。
城西支部所属。選手生活21年。
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けっして器用なタイプではなく、どちらかというと不器用。
しかし不器用な彼のコツコツと積み重ねた強打とスタミナそして精神力は見る者の心を打った。
試合を見た壮年部は「(西村選手とは)同年代だが、頑張りを見てエネルギーをもらった。今日は会場に来て良かった。」と語った。
惜しくも決勝戦は再延長戦で敗退したが、この日もっとも大きな拍手が彼の戦いに降り注がれた。
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極真会館の中で、何人の選手が見る人間に影響を与えられるだろう?
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新人戦で優勝した斉藤は国家公務員という多忙な仕事をしながら稽古を続け、週末は久米川から新宿に休まず通い全日本選手と同じメニューをこなした。
上級者に比べたら華麗な技もなく、地味な試合展開ではあったがスタミナが限界を超えているにもかかわらず全力で闘う姿は今まで必死で稽古をしてきたことを証明していた。
僅差で優勝した斉藤は「不細工な試合ですみません。」と言っていたが、その戦いは優勝者として相応しい内容だった。
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この日、城西支部同士の対戦となった重量級決勝。
森善十朗と鎌田翔平。
職場、道場とも一緒の二人は決勝までの試合を一本勝ちを含む圧倒的強さで勝ち上がった。
観客は両者の試合に期待し、そして一進一退の緊迫した中で森の一瞬の隙をついた後蹴りによる劇的な1本勝ちで幕を閉じるという期待を裏切らない劇的な試合となった。
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当初、全日本王者にもなった森が何故出場するのかを疑問視される意見があったが、その日の試合を見た人は「最後の試合は本当に見ていてワクワクしたよ。やっぱり城西地区選抜試合のレベルが高いのは誇らしいし、今回出てくれたことは嬉しいよね。」と語っていた。
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今回の試合、支部から多数の入賞が出たことは喜ばしいが、観に来た人間に感動や夢を与えることができたことは誇っていいことだと思う。
極真の試合はルール上での勝敗を競うだけではなく、観る者の人生に少しでも影響を与えてくれることを思い出した。
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