40回目を数える全日本大会。1年に一度無差別で国内最強を決める128人のトーナメントだ。
そして、自分鈴木潤は森先輩の、早稲田同好会の井上1級は鎌田先輩のセコンドとして同じく戦いに臨んだのである… 今大会は自分たちにとっても大きな戦いだった。両先輩の想像を絶する稽古を近場で見て、その仕上がりの良さを知っていたのである。 試合の前日、明日以降の先輩たちの活躍を信じて、興奮して語っていた。 「きっと二人はやってくれるだろう!」 「願わくば、決勝で戦うところが見たい」 などと、勝手なことを言っていたのだが、よくよく考えるとその先輩たちのアップの相手は自分たち。試合前に倒されてしまってはセコンドの役目が果たせない。しかし極真戦士の端くれとして、意地でもベストコンディションで試合場に上がってもらえるように、気合を入れようと固く誓ったのである。 1日目朝、東京体育館のサブアリーナでのアップ中、二人の動きはパワー、スピードともに申し分なかった。以前ならナーバスになりがちだった森先輩にも緊張も感じられず、自然体の動きが印象的だった。流れの中で無意識に技が出ていた。あとは試合でそのままの力を発揮するだけだと思いながら、自分は足を引きずりながら控え室へと戻った。足はまだ痛い、とても強烈だ。 初日の1、2回戦は若干の硬さを残しながらも、両名とも順当に勝ち上がり、本番の2日目に駒を進めた。 2日目の3回戦では鎌田先輩は全日本ウェイト制3階級制覇の木立裕行選手、森先輩は全日本大会2位の徳田忠邦選手との対戦。 今大会での正念場となった。 鎌田先輩は下段と膝を有効に使い、試合を進めるも相手の突きの連打の前に、惜しくも判定負け。ベスト32という結果となった。だが、打たれても表情を変えず、淡々と打ち返す姿は東京城西支部代表として誇らしかった。 城西の砦となった森先輩の3回戦は、おそらく一番会場を沸かした試合だろう。180センチ、105キロの巨漢と真っ向から打ち合う姿は見る者の感動を誘った。
カパナーゼ戦で笑いながら?打ち合っている姿を見て、明日は我が身かと震える思いをしながらも、尊敬する先輩に少しでも近づけるように稽古に励もう。押忍 ※後日森先輩からあの笑いは、試合が楽しくなったからとのこと・・・・恐ろしい・・・・