極真会館・東京城西支部

とうとうこの日が来た。第27回全日本ウエイト制大会選手たちはいつになくリラックスしている表情だ。この日のために日々苦しい稽古に耐えてきた。どの選手も人事を尽くして天命を待つといった心境だろう。
そして会場に入り、着替えてウォーミングアップを行う。先ほどのリラックスした空気から一変、全員戦闘モードに切り替わり緊張感が高まる。

	そしていざ戦いへ…
西村直也弐段４６歳という年齢で現役選手として戦う彼を人はこう呼ぶ。「鉄人」と。

一回戦は危なげなく勝利そして二回戦。相手は180センチのポーランド人。試合序盤はポーランド人の強烈かつ多彩な蹴り技のオンパレードで旗色がかなり悪く、誰もが敗北の二文字を脳裏によぎった。だが中盤以降、鉄人・西村の怒涛の巻き返し。得意の胸への強烈な突きで相手の動きが止まり本戦終了。延長戦に入るも試合の主導権は西村がとり判定勝ち。続く三回戦では前の試合のダメージからだろうか、少々精彩に欠けていた。西村は残念ながら敗退し涙をのんだ。
鈴木潤初段
	森善十朗の絶大なる信頼を得ているセコンドとして数々の死闘を目の当たりにしてきた。今回は応援ではなく自分が選手として大阪へやってきた。
	この半年間、森や鎌田と同じ稽古メニューをこなし、自分自身を追い込んできた。鈴木は初戦、臆することなく果敢に攻め、本戦はペースは鈴木にあったかのように思えるが決定打がなく延長戦へ。中盤まで一歩も退かない戦いをしたが、終盤に力尽き判定負け。惜しい戦いだった。
鎌田翔平弐段
	昨年の同大会では重量級四位ながらも決して喜べる内容ではなく、むしろあの悪夢を払拭する気持ちでこの一年稽古してきた。
	初戦、二回戦とも本戦判定勝ち。二試合とも下段を有効的に決めての判定勝利だった。そして二日目。相手は全日本大会を二連覇した経験のある内田義晃選手。悪夢を払拭するには不足のない相手。本戦・延長と鎌田の右の下段が有効的に入るも決め手に欠け、再延長までもつれるも判定負け。勝利こそは手にできなかったが、収穫のある試合だった。
小林大起弐段
	昨年の全関東大会優勝、全日本大会新人賞と近年メキメキと実力をつけている。どんな相手でも真っ向勝負で挑み、そのオーラはとても十代とは思えない。小林は初日の２試合は本戦で勝利しダメージもなく二日目に駒を進めた。準決勝の相手は以前国際青少年大会の決勝で負けたタリエル・ニコラシビリ選手。本戦一進一退の攻防が続くが、同じ相手に二度は負けれないと気合いが入りすぎたのか顔面殴打による減点2を犯してしまい敗退。続く３位決定戦でも顔面殴打を犯してしまい敗退。
	４位入賞という結果だったが小林にとって苦い敗戦になった。
森善十朗弐段
	ご存知中量級の世界チャンピオン今回は二年前と同じく世界大会を見据えて階級を軽重量級に上げての出場。さすが中量級世界チャンピオンといったところだろうか、軽重量級に階級を上げたとはいえ森のスピードは健在で決勝戦までは本戦決着という圧倒的な強さだった。しかもほとんどの試合を確実にダメージを与えて勝つという攻撃力の強さも目についた。
	決勝で後輩の小林に勝利したタリエル選手と対戦、後輩の敵討ちといきたかったところだが、タリエル選手は凄まじい圧力で攻撃を仕掛けてくる。森も下段を返して反撃を試みるが主導権を握れず本戦で無念にも敗退してしまう。森にとっても勉強させられる試合だった。
出場者全員課題の残る敗戦ではあったが、くよくよしている時間はない。今年の11月の全日本大会は来年の世界大会の日本代表を決める選抜戦ともなる試合だ。彼らならきっと課題を克服し、必ず日の丸を背負ってくれるだろう。