初段をいただいた5年前には、よもや弐段に挑戦することになるとは想像だにしていませんでしたが、先生・先輩・道場の皆さんの励ましに背を押され、自分にその資格があるのかという、とても大きな問題にはともかく目を瞑って、受審するからには弱さに打ち克ってどこまで自分に厳しく向き合えるかを課題に、意を決して準備を始めたのは昨年の秋の終わり頃でした。
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以来、下り坂の身体能力に嫌と言うほどあらためて気づかされてメゲかけたり、道場稽古の日にわざとぶつけられているかのように続く仕事上の宴席にうんざりしたり、逃げや言い訳のネタには事欠きませんでしたが、そんな半端な気持ちに流されない精神に対してこそ初段の帯を許されたのだという矜持が、何とか自分をこの挑戦から逃げ出さずに繋ぎ留めてくれたのかと振り返っています。 |
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初段になってからが初心・スタートと言いますが、その意味を深く噛みしめたこの5年間でした。習うことに慣れきって、向上するためにもっと習っていたい、稽古をつけてもらいたいという甘えた気持ちから、当初はなかなか抜け出し切れずにいました。自分で考え一人で稽古してゆける水準まで到達したと認められて段位を授けていただいた者として、立場が大きく変わったことを早く受け入れて、道場稽古では道場生の皆さんの上達を全力でサポートすることに専念し、自分の稽古は自分で時間をつくり自分一人で精進していくのが当たり前で、思えば自分を指導して下さった先生や先輩方も皆そうしてきて、その姿をずっと目にしてきたはずであるのに、いい年をして仲々『大人になりきれなかった』自分が居たことを思い出します。
歩を一足進めたこれからは、自分なりに今まで経験してきた色々なことを道場生の皆さんに少しでも還元できるようこれまで以上に心を配り、先生方の助力にもなれるよう心がけ、先頭に立って皆を牽引していくというよりは最後尾から後押しして落伍者を出さないよう鼓舞していくような役割を果たせるよう努め、道場や支部に何らかの形で貢献して御恩返ししてゆけたらと考えています。そして、いつまでも向上心を持ち努力をしててゆく強さを持ち続けたいと思います。 |
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最後になりましたが、これまで御指導賜りました師範をはじめ支部内外の全て間の先生・先輩方、一緒に稽古して下さった道場の仲やご家族の皆さんに、この節目にあらためまして心より厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。そしてこれからもどうぞ益々宜しくお願いします。 |
平成28年9月
吉祥寺道場所属 KJ064 多田勝 |